第1章

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「もういいわ」と乙姫巡査部長は辟易とした顔付になっていた。  二人が諍いをしている間、木漏れ陽が乙姫巡査部長のツンとした色白の顔をチラチラ照らしていた。チラチラした陽の光の眩しさに刺激されたのか、急に野原巡査が尿意を覚えた。 「すみません。さっきのA選手を見て連れションを催しました。もう漏れそうです。男の生理現象で勘弁してください。チヨウさんは通りに出て待っていて!」と彼は断って更に森の奥深くへ入った。 「それって緊急避難だから、違法性を阻却してノープロブレムよ」言い残して彼女は立ち去った。 野原巡査は大きな樹木の幹に向けて放尿しながら自分の一物を見つめ、いつか近い日に、このトマホークを小生意気な上司の乙姫にぶち込んでやるかと妄想していた。  乙姫巡査部長は、風薫る陽光の下で木の芽の匂い立つ空気を思いっきり深呼吸した。                  終                                     
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