煌月の章-01-

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おそらく……いや、間違いない。 これは飛竜の羽ばたく音だ。 けれど、こんな大きな翼音は今までに聞いたことがない。 おそらく相当魁偉な竜なのだろう。 突然、天井からどおっと灼熱が降り放たれてきた。 それが、少年の目の前、横一線を通り過ぎていった。 「あ、ああ……」 見ているだけで頬が火傷しそうだと感じた。 馬は皆、耐えがたいというような悲鳴と共に焼死した。 火炎が通り過ぎたと同時。 天上から飛竜の咆哮が響いた。 足元の小石が浮いてしまいそうなほどの怒号。 聞いているだけで背筋は伸びて、全身に鳥肌が立った。 火炎の放たれた跡は形もないような炎となっていた。 あの飛竜、一体どれほどの大きさなのだろう。 想像だにできない。 そう思い、見上げたと同時。 紫色をした煌月に竜の影が覆った。 見た瞬間、少年は瞠目して息をのんだ。 大きい。 とてつもなく大きい。
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