煌月の章-01-

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今まで見た中で一番大きい。 凄まじい風圧とともに巨大な飛竜が通り過ぎていくのが見えた。 過ぎるとともに火の粉が焼け跡とともに舞った。 少年はこの熱さのなかでも悪寒を感じた。 それほどまでに恐怖だったのだろう。 あの月を覆うほどの規模。 村の物見台を超える程か。 いや、もっとかもしれない。 飛竜は飽きたのか、巨大な咆哮ととも彼方へと飛び去っていった。 「行ってくれた……」 呟くと少年は、近くの馬小屋の裏手口からでた。 幸い、裏手口だけは開きっぱなしだったので、難なく外に出ることは出来た。 ――だが、外に出ると再び、少年は絶望した。 「そんな……」 目の前に広がるのは、紅蓮の炎に包まれた少年の生まれ里であった。 少年が飼われていた家、村が全て。 そう、目の前の全てが焼野原。 人や家畜の呻く声すらない。 ただ、家屋の燃える音が空しく響くだけ。
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