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今まで見た中で一番大きい。
凄まじい風圧とともに巨大な飛竜が通り過ぎていくのが見えた。
過ぎるとともに火の粉が焼け跡とともに舞った。
少年はこの熱さのなかでも悪寒を感じた。
それほどまでに恐怖だったのだろう。
あの月を覆うほどの規模。
村の物見台を超える程か。
いや、もっとかもしれない。
飛竜は飽きたのか、巨大な咆哮ととも彼方へと飛び去っていった。
「行ってくれた……」
呟くと少年は、近くの馬小屋の裏手口からでた。
幸い、裏手口だけは開きっぱなしだったので、難なく外に出ることは出来た。
――だが、外に出ると再び、少年は絶望した。
「そんな……」
目の前に広がるのは、紅蓮の炎に包まれた少年の生まれ里であった。
少年が飼われていた家、村が全て。
そう、目の前の全てが焼野原。
人や家畜の呻く声すらない。
ただ、家屋の燃える音が空しく響くだけ。
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