煌月の章-01-

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少年はこの光景を言葉なく、空が蒼茫と色づくまでぼんやりと眺めていた。 母を殺された恨み、一時は復讐に囚われた少年であった。 だが、それが叶ったところで、今あるのは喜びでも達成感でもなく、絶望。 ただそれのみであった。 いつか母が言った言葉を思い出した。 恨んだりすればやがて孤独が訪れる――。 「うっ……ううっ……!」 少年は泣いた。 そうか、きっとこれは母の教えに背いた報いなのだろうと、そう思った。 朝陽が顔を出し始める頃、やがて炎は消えた。 あちこちで煙はたっているが、生き残りはいるだろうか。 少年は村の中を歩いて回った。 ――だが、見つかったのは血の気もないような焼死体ばかりであった。 朝陽が昇った。 けれど、この村でその陽を拝めたのは少年だけである。 「……」 少年の眼はすでに生気を失っていた。 これから生きていこうと思う希望がない。
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