沈黙

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 真夜中、今度は獣じみた悲鳴がアパートの一室からあがった。 「ダレカ、タスケテ!」  やはり、応えるものは一人もいない。 「ダレカタスケテ、ダレカタスケテ、ダレカ、タスケテー!」  そして呪文のように繰り返される言葉。  ―――ドンッ―――  壁が、震えた。 「さっきからうるせーぞ!! 今何時だと思ってやがる!」  隣人が薄い壁を蹴りとばしたのだ。  近所迷惑な声はピタリ、と止んだ。
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