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「だったら、食い逃げすんなよ。あと、そんな大金が入ったんなら今までのツケ全部払え」 「はい、はい、今度な」  口ではそう言うが、たぶんまたツケに回すんだろう。  そもそも、ツケの効く喫茶店なんかこの店ぐらいなものだ。居酒屋ではないのだから。 「ふぅー、ごっそうさん」  食後の一服にと、陽希がタバコを取り出す。 「おい、うちは全席禁煙だ。吸いたきゃ外で吸え」 「いいじゃん、他に客いないんだし」  謙次の注意を無視し、陽希はタバコを吸い始めた。  陽希が息を吐くと、白い煙が口から吹き出したちまち店内はタバコ臭くなった。  タバコの匂いが苦手な謙次は、顔をしかめ店の窓を全開にした。  不機嫌面の謙次を横目に、陽希は勝手に店内に設置されているテレビのリモコンをいじり電源を付けた。  ニュースキャスターの耳に入りやすい声が、テレビ画面から聞こえてくる。 『昨夜未明、洞爺市の公園内にて男性と思わしき死体を近所の住人がジョギング途中にて発見。死体はバラバラに引き裂かれており、性別のみ判明。今だ身元は判明しておりません』
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