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「うわぁ、物騒だな」  呑気げに陽希が言う。  そんな陽希に対し、謙次は、 「お前が、被害に遭えば良かったのに…………」 「ひど!? 俺、この店の常連だよ。大切なお客様でしょ!」 「客じゃなくて、集(たか)りに来てるチンピラだろ?」  見た目からして、見間違うことなくチンピラ姿。俗にDOQと呼ばれる輩のような格好の陽希は拳を奮わせていた。 「誰が、チンピラじゃあ!! 俺はこう見えて、清く正しい真面目な好青年だ!!!」 「じゃあ、その好青年さん。今回のお代」 「…………がめついなお前」  呆れ顔のまま陽希は、ジト目を向けた。  しかし、謙次は意にも返さず催促する。 「商売なんでな。払うもんはしっかり払ってもらう」 「へい、へい」  財布から小銭を取りだし、陽希は代金を謙次に渡した。
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