ぼくら・の・はじまり

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「ごめんね、カズヒロ。戸締まりとかよろしくね。」 「はいはい、子供の頃から慣れてるからだいじょーぶ!それよりちゃんと治してきてよ、母さん。」 母さんを乗せたタクシーを見送り、ふう と息をつく。 「カズちゃん、おはよー!」 「カズおはよ。おばさん行ったのか?」 母を見送り、一瞬丸まった背中がピッと伸びる。 「……はよ。」 近所の幼なじみの双子、山瀬センとコウがあくびをしながら歩いてきた。 「なんか久々だねー!」 「こらコウ!なんて言い方だ!」 「えー、でもおばちゃん今日は顔色そんなに悪くなかったしだいじょーぶだよカズちゃん!」 「悪いには変わらねーじゃん…でもありがと。」 昔から体の弱かった母が数日前倒れ、今日は検査のため病院へ向かった。 その母が更に弱くなったのは6年前。 父が交通事故で亡くなり、母はそれから入退院を繰り返していた。 それでもここ1・2年は入院することはなかったから安心してたのに…。
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