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「お師さま~朝ご飯が出来ました~」
「おお、すまんな」
それがしの声で、寝起きのままの格好のお師さまがやってくる。
いつも、ビシッと身なりを整えているお師さまだけど、この時ばかりは少し乱れた格好をしていて。
外では見せない乱れた姿に、毎朝胸がときめいて……はいなくて、心がかき乱され……てるわけでもなく、うむ、珍しいものが見えたと、思っている。
「ん、どうしたのだ?箸が進まぬようだが?」
お師さまの、はだけた胸元をボーっと見ていたそれがしに気がつき、不思議そうに目を向けられた。
は、いかんいかん!
このままでは、お師さま目当てで弟子入りしたように思われてしまう。
「い、いえ。それがしはもうお腹がいっぱいでして」
……嘘は、言っていない。
事実、それがしはお師さまのお姿だけで満腹だ。
でも、おかわりはいくらでも入る。
「食が細いのか。
弟子入りして半月だが、毎朝これでは不安であるな。
今日あたり、鍛練はよいから医者に行ってきなさい。
体を労るのも修業ぞ」
はぅ!それがしを気遣ってくれるお師さまに後光が見える!
今のお師さまの前では、仏すらかすむ!
いや、しかし、医者に行っても治る事はないだろうし、お師さまに抱いているモノを暴かれでもしたら、軽蔑されるやもしれぬ。
ならば、ここは丁寧にお断りすべきか。
あ~もう!せっかくのお師さまの誘いなのに、それを受けれないなんて!
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