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「お師さま、それがしは大丈夫にござります。
それよりも、今日の鍛練をお願いします」
うぅ、これでよいのだ。
まこと、断腸の思いではあるが、これが唯一無二の選択なのだ。
いつも通りに、お師さまに剣の指導をいただければ、それがしは満足でござります。
「そうか。しかし、不安であるな。
お、そうだ。では、湯屋へ行こう。
どのみち、そろそろ町に降りねばならぬ。
ならば、五右衛門風呂ではなく、たまには大きな風呂に入るのも気持ちよかろうて。
そうすれば、ぬしの体調もよくなるやもしれぬしな」
な、なんと!
お、お師さまとはだ、はだか、の付き合いですと!
こ、これは!
これは、もう、色々よいのでございましょうか!?
お師さまは、それがしの心を見透かして、弄ばれておられぬのか?
いや、それとも、それがしと同じ気持ち?
いやいや、そのテの事には全くもって冴えがないお師さま。
多分、特に意味などないのだろう。
「そ、それがしのために!
ありがたき幸せにござります!
すぐにでも参りましょう!
もう、それは韋駄天の如く」
「お、おぅ。
では、飯を食べたらすぐに……」
希望に期待に落胆に、おそらく、この世にある様々な感情全てがそれがしの中を駆け巡る。
若干、お師さまは気後れしてる気がするも、もはやそんな事など気にならず。
様々な感情が爆発しては消えさるそれがしの心の中。
その最後に爆発したのは、『お師さまの裸をみたい』という気持ち。
あぁ、まさか、こんなにも早くその日が訪れるなんて。
それがしは天にも昇る気持ちでござります。
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