2人の少女。

3/6
前へ
/362ページ
次へ
それを知ってか知らずか嵐山は、傍らで真剣な表情を浮かべたままのゆきに話し掛ける。 「ゆきちゃん。 直子ちゃんにいらん真似しよったアホと、ワイに石投げつけよったアホはどないしとう?」 「女の子は泣きながら震えてます。 兵隊さんは女の子を背中に庇っています。 …足が少し震えてますけど」 「兵曹はさておき、おなごさんの方は直子ちゃんにいらん真似しよった当然の報いや。 言うとくけど、泣いたかて絶対に許したらへんでぇ。 滅茶苦茶どつき回したる言うてんねやない。 ワイにも直子ちゃんにしたんと同じ事してみ? …て言うとうだけや」 「摩耶長…」 「幾らゆきちゃんの頼みでもそれだけはあかん。 直子ちゃんはそこのおなごさんがいらん真似しよったせいで、何ヶ月も怖い思いしてきたんやさかいな。 もっぺんだけ言うたるわ。 直子ちゃんにやったように、ワイにも自分らの姿が見えるようにしてみ。 旗色が悪うなったからて逃げられてもうたら、今のワイでは追いかけようがあらへんさかいになぁ… 何も取って食う訳やあらへん。 ただ、一体どないなつもりで直子ちゃんにいらん真似しよったんかを、ワイが納得するまでとことん聞かして貰うだけや。 …異論があるなら聞いたる」
/362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加