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それを知ってか知らずか嵐山は、傍らで真剣な表情を浮かべたままのゆきに話し掛ける。
「ゆきちゃん。
直子ちゃんにいらん真似しよったアホと、ワイに石投げつけよったアホはどないしとう?」
「女の子は泣きながら震えてます。
兵隊さんは女の子を背中に庇っています。
…足が少し震えてますけど」
「兵曹はさておき、おなごさんの方は直子ちゃんにいらん真似しよった当然の報いや。
言うとくけど、泣いたかて絶対に許したらへんでぇ。
滅茶苦茶どつき回したる言うてんねやない。
ワイにも直子ちゃんにしたんと同じ事してみ?
…て言うとうだけや」
「摩耶長…」
「幾らゆきちゃんの頼みでもそれだけはあかん。
直子ちゃんはそこのおなごさんがいらん真似しよったせいで、何ヶ月も怖い思いしてきたんやさかいな。
もっぺんだけ言うたるわ。
直子ちゃんにやったように、ワイにも自分らの姿が見えるようにしてみ。
旗色が悪うなったからて逃げられてもうたら、今のワイでは追いかけようがあらへんさかいになぁ…
何も取って食う訳やあらへん。
ただ、一体どないなつもりで直子ちゃんにいらん真似しよったんかを、ワイが納得するまでとことん聞かして貰うだけや。
…異論があるなら聞いたる」
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