月夜の晩酌

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 なぁ、おやじ。  今夜はすっげぇいい月夜だな。  こうやって顔を合わせるのもいつぶりだ?  あれは確か……そうだ。  俺が大学2年の頃だったよな。  あの時の俺はバンドに夢中で。  地元の小さなライブハウスではそこそこ人気があって、大学ではちょっとした有名人。  仲間と一緒にプロを目指そうとか言って盛り上がってた時期でさ。  俺自身、メジャーデビュー出来ちゃうんじゃないかって正直、甘い夢を見ていたワケ。  でもアンタには、しょっちゅう「夢ばっか追ってないで現実を見ろ」だとか、「学生の本分は勉強だ。何の為に大学に入ったんだ」とか小言を言われてさ。  ほんと、俺。  あの頃はおやじの事、くっそ煩わしかったんだよなぁ。
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