ひめなき城

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一人言を繰り返す私に隣のユミがうるさい!と言って私を睨む。 「カオル、もう少し寝かせてよ……」 「何言ってんの?もう、お昼だよ。それより、あれ見て!」 ユミは、もうと呟きながら目をこする。 「お城だねぇ……」 意外とユミは、淡白な返答をしてきた。 どうせ、この歴女め!とか思っているんだろう。 そう思っていてくれたほうが私にはありがたい。 オタクにエサと弱味を見せたら、しつこいのは世の常だ。 「ユミ、行ってみようよ!」 ユミは、はあと盛大に溜息をつく。 「言うと思った。どうせ、行かない選択なんてないんでしょう?」 私はにやりと口角をあげる。 「ご名答」 そして、私たちは、そのお城へと足を踏み入れたのだ。
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