第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
僕がまだ小さい頃の話だ。 山で犬を拾った。 子犬だ。 その日は雨が降っていて、その子犬は茶色い毛並みを濡らしながら、木の祠で体を丸めていた。 周りに親犬は見当たらない。 はぐれたのだろうか。 その子犬は、ただただその場でジッとしていた。 「そうか お前も独りぼっちか」 放っておく訳にもいかず、僕はその子犬に寄り添った。 ――数分後。 迷子だった僕を、両親が捜してきてくれた。 その時に、僕は両親に頼み込んだ。 「お父さん、お母さん この子犬、家で飼っても良い?」 僕の申し出を、両親は快く許してくれた。 もともと動物は嫌いじゃない。 その子犬が我が家の一員になるまで、それほど時間はかからなかった。 そして……。 あれから、3年後……。 あの子犬は、見違えるほど大きくなった。 体躯は丸々と太り。 剛腕な前足は驚くほど器用で、物を掴む事ができる。 強靭な足腰を有しているのか、二足で歩行するなどしょっちゅうだ。 そしてなによりも、大好物はハチミツ。 ははは! 可愛いやつめ! って、ちょっと待て。 これ、犬じゃねぇわ。 「熊じゃねぇか!!」 この出来事を通して、諸君に言いたい事がある。 子供の頃の犬と熊って、結構似てるから間違えには気を付けよう! まぁ、なんだかんだ問題もあったが、この熊は今でも我が家の一員だ。 もともと動物は嫌いじゃないからな。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加