第1章

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 くるしいってなんだろう♪  すばらしい、なー  すばらしい、なー  シュタインの城はボクがまもるのだ!  今日はたのしいおるすばんさ  タラララン♪  バケツを振りまわしながらかぼちゃ頭の男が歌っていた。  その頭にはなんにも入っていないので、からっぽな歌しか歌えない。  だけど、そのかわりに気ままで陽気であった。その歌にさそわれるようにして、一羽のカラスがかぼちゃ男の頭に止まった。男はというと、カラスに気づかずに歌いつづけている。  カラスのくちばしがツツツツンとやわらかい頭をつつくと、オレンジ色が地面に飛び散った。これにはさすがに、男も気がついた。自慢の靴がはじけるようなオレンジ色になっていたから。 「ありっ? あらっ?」  男は右と左にふりむいたが、カラスは頭の上。カラスが男にあいさつするように「アホー」と鳴いた。 「あっ、またおまえかっ。これはボクの頭だぞ。おまえの巣になんかさせないぞ。ボクの頭に手をつっこんだり、するのは罰金ものなんだぞ。ほんとうだぞ」  男はカラスを追い払おうとかけずり回った。そのころ、城から見える丘に人の姿があった。
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