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おきゃくを案内しようと、城に入っていくジャックにはその言葉がきこえていなかった。
城の中は、とても広い。
リジーはその場でつまさきを立てて一回りした。
カーテンがひかれている暗い部屋には、ピアノや机が置かれていた。その周りにはかごがあり、畑でとれた野菜や果物が無造作に積んであった。
リジーはソファに座ろうとした。そのとたん、ばねが飛び出してリジーを押し戻した。
「このソファ、昔のままね。なつかしいわ。ねぇ、かぼちゃ男、シュタインが帰ってくるまでここにいてもいいかしら?」
「どうぞどうぞ。ごじゆうに。おなかが空いてもだいじょうぶ。パンも水も野菜もあるよ!」
「ふぅん? じゃあ、まずは、あんたのかぼちゃ頭をいただこうかしら」
にっこりと小さな悪魔のように笑ってリジーは言った。
「あっはは~? ボクの頭はおいしくないよ」
リジーは頭の黒いとんがり帽子をソファから飛びだしたばねにひっかけると、辺りを見回した。
「暖炉はどこにあるの? 寒いから火をおこしたいんだけど」
「ヒッ! ヒヒヒヒーーーッッ!??」
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