第1章

6/21
前へ
/21ページ
次へ
 ジャックはおしりに火がついているように右に左に走り走り、どこにも逃げ場がないことを知ってから、ベルベットのカーテンのうらに隠れた。 「もしかして、火がこわいの?」  リジーが聞いた。 「えっえへへへー? こわくなんかないよー?」 「ふーん?」  疑うようにそう言うと、リジーは持っていた杖の先に魔法をつかって火をつけた。 「ヒーーーーーっ!」ジャックは悲鳴を上げた。 「やっぱりこわいんじゃないの」 「こ、こわくなんかないよ、ただ、それ、いやなんだっっ!」  暖炉はマホガニー製の重い机の裏に隠されていた。  リジーは暖炉に火をつけると、ジャックのいるはずのカーテンをふりむいた。 「なによ、やっぱりこわいんじゃない」  ジャックは廊下の端まですっ飛んでいた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加