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「認めない...っ!
あんたが未来から来たなんて、もうすぐ私の中からいなくなるなんて、そんなの絶対信じない!
言ってないよ......。私まだ、あんたに大事なこと何にも言ってない!!」
頑固だなぁ。
目の前で泣きじゃくる彼女を見て、やっぱり可愛いと思ってしまう俺はもう末期だろうか。
額から生暖かい液体が頬を伝ってポタポタと滴り落ちる。
ハナの腕に頭を抱えられて、俺はかろうじて息をしていた。
大丈夫。不思議と痛くはないんだ。
死ぬ、というより、消えるんだ、という変な感覚。
ハナの腕の中はこんなにも温かいのに、雪だってちゃんと冷たいのに。
自分がもうすぐこの世からいなくなる。
姿形だけじゃなく、心ごと、一つ残らず全部持っていくから。
哀しいのは今だけだから。
頼むから笑えよ、ハナ。
俺の役目は終わったんだ。
俺はお前を助けるために、きっと神様がもう一度俺にチャンスをくれたんだ。
姉を助けられなかった俺に、お前を守る役割を与えてくれた。
好きになるなんて予想外だったけどな。
お前と姉が似てるのかだって?
やめろよ。似てないよ、全然。
つーか、似られると困る。
俺はシスコンじゃないぞ。
ハナはハナだ。
この世でたった一人の、俺の......。
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