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荻窪茜と月島あやめが転校して7年後の未来。その世界のほんのひとこまの舞台です。
「ふぅ。」暑さに一息つく。東北といえどもかなり暑い。けどインターハイが行われる東京はもっと暑いはず。毎年暑さ対策が私達の課題。まぁ、マネージャーの私が暑いなんて言ってちゃ皆に怒られちゃうね。
インターハイ一昨年は決勝戦で四日市第一高校に敗れた。去年はリベンジで優勝。今年はインターハイ連覇がかかっている。
今年も第一高校かな?不思議と夏のインターハイ、冬の選手権2年連続4回とも決勝戦の相手は四日市第一高校だ。唯一敗れた一昨年のインターハイ。今優君がサッカー出来るのは彼のおかげ。そして、うちが勝てるのも彼のおかげかもしれない。
あっ、申し遅れました。私は東北高校3年赤嶺響子です。サッカー部マネージャです。今日は私達の時間を少し紹介させていただきます。
ちらりと時計を見る。時計の針は間もなく開始から45分。うちの部は、試合時間に合わせて練習をしている。今は後半。終わったら20分休憩だ。
「終了。」私は時計を見て伝える。
みんな一斉に座り込む。かなり疲れているみたいだ。
私は他のマネージャーと一緒に冷やしたタオルとコップに入れた麦茶を配る。
「サンキュー。」「アザース。」次々と配って、最後にキャプテンと副キャプテンの元に行く。
「ありがとう、響子。」優くんにタオルと麦茶を渡す。早瀬くんには後輩が。
「もうすぐね。」
「ああ、インターハイ連覇、そして選手権3連覇では花道を飾るぜ。」
「お前ほんとに辞めるのか?」「ああ。サッカーは高校までだ。」
「高校No.1のトップ下のお前が…。もったいない。」早瀬くんはため息をつきながら話す。
日本一と言われるゲームメーカーの彼は、将来のサッカーに全く興味はない。連日世界のビッグクラブからオファーが入るのに全て断っている。かといって将来やりたいことはまだみつかっていないらしい。こんなちょっと風変わりな人が私の恋人である。
「倉本先輩。お手紙です。女の子から…。あっ!」後輩のマネージャーが届いた手紙を持ってきた。私を見て「しまった!」って顔してる。
「なになに、キャプテン浮気?」
「恋文か?」「響子が可哀想。」
皆が興味津々である。
「ちがう、いつもの旧友からだ。」優君が叫ぶと、「なんだ、つまらん。」とみんなが散り散りに散っていった。
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