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「しかし、佐々木ほどのプレーヤーがよく反対されなかったよな?」
「あっ、それ書いてあるよ。」
「えっと。周囲からの猛烈な反対があったみたい。毎日のような勧誘もすべてシャットアウト。ただ、家族は誰も反対しなかったみたい。恵まれてるね。」
「まあ、本人がきめたことだからな。」
「今度は嬉しい報告。私の恋人はあの事故から厳しいリハビリに耐えて、左肩動かせるようになったんだよ。」
「…。」優くんは俯いてしまう。そう彼の肩を優くんは二度壊している。1度目は今から7年前、全国小学生サッカー選手権決勝で。優くんのシュートが彼の肩を破壊してしまった。
2度目は一昨年インターハイ決勝で。最後のプレー。先輩からのコーナーキックを二人で競り合って。焦った優くんは空中で大きくバランスを崩して頭から落下。あやめちゃんの彼が優くんを庇って左肩から地面に激突。優くんは軽い脳震盪で済んだけど彼は…。2度とサッカーできない体になってしまった。
次の日、優くんはサッカー辞める覚悟で私とお詫びに病室に行った。
そこには、ベットで普通に振る舞う彼と、寄り添うあやめちゃん。彼は、「俺の分までサッカー続けろよ。この肩に誓ってな。」と泣きながら詫びる優くんに優しすぎる言葉を投げ掛け、それを見て泣いていた私を、笑顔で慰めてくれたあやめちゃん。本当は彼女の方が泣きたいはずなのに…。」
「それでね。お医者様が1試合だけなら出ても良いって。試合に。」
「…!」
「…!」
優くんと早瀬くんが立ち上がる。
「今なんて!」
「1試合出れるって!だから、本人には内緒でプロジェクトをサッカー部で計画中。冬の選手権、決勝に裕ちゃんを出場させるための♪」
「や、奴が?」
「出るのか?」
「おい、今嶋田が試合に出るとか聞こえたんだが。」うちのゴールキーパー若松君も聞き付けてきた。
「だから、インターハイは譲るけど、選手権は貰うって太一君が意気込んでるよ。」
男子3人はみるみる気合いが入ってきたみたいだ。
病室で初めて話した彼。人を引き付ける魅力をそなえていた。自分が一番辛いはずなのに、微塵も見せつけない威風堂々な姿。あやめちゃんの彼、また優くんがいなかったら間違いなく好きになってしまっていた。
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