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緊張している。
大人みたいに大きな先輩たち。
だだっ広い、黒土のグラウンドで、走って、飛んで、投げている。
「チャー、おまえ、陸部にすんの?」
知り合ったばっかりの康第(こうだい)が、僕に話しかけて来る。
陸上部か。
正直、憧れはあった。
出来るなら、命の限り、筋肉というヤツを躍動させてみたい。
球技みたいに、状況だとかチームだとかを意識するのじゃなくて、水泳とか陸上みたいに、ただ、筋肉を躍動させることに。
廃校寸前の谷川の小学校から、僕は大きな大きな中学校へと入学した。
1クラス30人以上。
1学年3クラス。
他の学年と同じ教室で授業を受けていた僕にとっては、未踏のマンモス学校だ。
「康第君は、部活どうするの?」
康第は、顎をポリポリ掻きながら、考える。
まだ決めてないのか。
部活動。
中学からの新しい活動を目の前に、二人とも、憧れと緊張を持て余しているみたいだ。
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