壊し屋、王都を目指す ~反魔王軍本部編②~

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俺は一体何をしているのだろう? 異世界に転生してから初めて、いや、人生で初めて胸や腕に防具を身につけ、タガーやナイフではなく、剣を腰にぶら下げている。 そして、この装備の上から自前のローブを身に纏って、女騎士二人の後ろをついていく。 どういう状況だ? とにかく今は、やれる仕事をやるしかない。 それはそうなんだが…。 階段を上りきり、武器庫への扉が見えてきた。 エレーナが扉に手を添えて、押し開けた。 仕事は始まっているのか、武器庫の中は慌ただしい雰囲気だった。 倉庫を横目にギルドへつながる、通用口へと足を進める。 エレーナが再び、扉を押し開けてると、半屋外の渡り廊下が現れた。 外に出ると、外は雨だった。 昨日ぶりの外の空気、外の景色だ。 一晩とはいえ、地下にいたからか少し解放された気分になった。 だがすぐに、解放された気分は終わった。 先導する二人が、渡り廊下を進み、ギルドの中へと進んでいった。 この街のギルドは初めて見る。 ただ、俺がいた街のギルドと構造は似ているようだ。 教会のような大きな空間に、ベンチとテーブルが並び、壁の一部には仕事の依頼が貼り出される掲示板が設置され、ギルドの一部には食事や酒の飲み食いが出来るスペースがある。 違う点を挙げるなら、ギルドが広いこと、作業部屋にあたる個室が複数あること、それとこのギルドの二階部分に書庫というものが存在することだ。 今まで見たことのない規模のギルドに驚かされながら、前の二人についていく。 この時間はこれから王都から来訪者があるからか。ギルド内は職員しかいないようだった。 女性職員の一人がこちらに気づいたようで、お俺たちに近づいてきた。 「こんにちは、エレーナさん」 「やぁ。すまないな、急に動いてもらうことになって」 「いえいえ。いつもお世話になってますから。それに、アーシアさんもご無沙汰してしております。こちらに戻ってこられていたんですね」 「そうだ。彼女もこちらの作戦にあたることになったのでな。今日もこちらに同行してもらっている」 「そうだったんですね。あと、そちらの方は…」 「あぁ。我が軍の協力者だ。奥地にある街から同行してもらっている」 ギルド職員は軍への理解があるようだ。 俺はローブを外して、職員に顔を見せた。 「よろしくお願いします」 俺がそう言うと、職員はにっこりとした。 「それで、管理役の人物はきたのか?」 エレーナがそう聞くと、職員は首を横に振った。 「まだ、到着されてないようです。来られた際には、緊急放送で住民の皆様にお知らせして、そのあと、ギルド二階の書庫にご案内して、見学していただく予定です」
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