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「そうか。では奴が到着したら、ギルド内の職員も安全の確保をしてくれ。万が一戦闘になった場合は職員の安全確保を行ってくれ」
「わかりました」
「管理役の情報は何か届いているか?」
「いえ、以前王都の意向を通達に幹部のアダレイド・ホルクスという方がお見えになりましたが、管理役には違うものが付くと言っていました」
アダレイド・ホルクス…。
俺の街にも来た人物…。
名前を聞いただけで、あの図太い声と拘束魔法を思い出してしまう。
「わかった。ではそれぞれで準備をしてくれ。私もアーシア・マルゾーナとギルド内で迎え撃つ」
「わかりました」
その時、ギルドの外から警報音が聞こえてきた。
「緊急放送!緊急放送!ただいま王都から、管理役の方がお見えになりました。住民の皆様は広場にお集まりください。繰り返します…」
「来たようだな…。我々も準備をするぞ。君は書庫に隠れてくれ。必要な時に声をかける」
「わかりました」
俺は、エレーナの指示通り書庫がある二階へ向かった。
階段を上ると、ロの字の廊下になっていて、吹き抜けの一階部分が見えるようになっていた。
二階には作業部屋が数部屋と書庫があるようだ。
そして書庫への入り口の両側には本棚があり、その中にも本が所狭しと収納されている。
俺は下のフロアが見える書庫の入り口に移動した
ローブを被り直し、腰の剣を床におろし、扉の前に腰かける。
あとはしばらく待機だ。
たまに立ち上がって下も確認しないとなぁ。
そんなことを考えていると、俺たちに時間を与えないかのように、ギルドの扉が鈍い音をたてながら開いた。
フロアを見下ろすと、ギルド職員の案内のもと見知らぬ男が入ってきた。
この位置からだと遠くて顔まではわからないが、甲冑を身につけている細身な男だ。
騎士にしては華奢に見える。
エレーナとアーシアを見て少し驚いたのか、「ほぉ」というような声が漏れていた。
「これはこれは反魔王軍、もとい元同僚のエレーナ、ユリエフ様。それからアーシア・マルゾーナ様。あなたがここに居るの想定外ですが…。監視役の任務はどうしたのでしょうか?」
話を聞く限り、あの男は元々反魔王軍に属していた騎士のようだ。
「あら、私は今も任務中ですよ?もっとも、そちらの任務ではありませんが…」
「変ですねぇ。鎖の魔法の効力が無くなってしまったのですか?そうなのであれば、悲しいですが、この国のために犠牲になってもらうしかないです」
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