壊し屋、王都を目指す ~反魔王軍本部編②~

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男は腰の剣を抜いて構えた。 「この国を乱す輩は、必要ありません。このクルド、この街の監視役として反乱分子を粛清します」 クルドは剣を手にアーシアに切り掛かった。 するとアーシアも剣を抜き、クルドの剣を弾き返した。 剣と剣が交わる音がなんどもなんどもギルド中に響いている。 クルドの剣の動きに対して、アーシアは冷静に見切っているかのように、剣を重ねていた、 エレーナはこの間に、麻酔銃の準備を進めている。 クルドに隙が出来たら、すぐに打ち込めるように。 幾度となくぶつかり合っていた剣は、アーシアが弾き返したことで、クルドとの一定の間と距離ができた。 「やはり、あなたに剣を持たせると敵わないですね。さすがは元護衛部隊の騎士ってところですかね」 クルドはそう言って、再びアーシアに切り掛かった、 しかしアーシアはそれをひらりと躱し、自身の剣で甲冑の胸のあたりに見事な突きを見せた。 クルドは背後に蹌踉めいた。 すると、 「おとなしく、魔法に頼った方が良さそうですね…」  と言って剣を持っていない左手で魔法陣を展開した。 クルドの左手からは不気味な紫色の鎖が現れた。 紫の鎖は床を這うようにアーシアに向かって素早く進んでいった。 アーシアは剣を床に刺し、棒高跳びの様に空中へ飛び上がった。 甲冑を身につけてるとは思えない身のこなしだ。 「……」 クルドはなにかを呟くと、紫色の鎖はアーシアの後を追うように、空中へと舞い上がり、怪しげな光を放ちながら、アーシアの右足に巻き付いた。 床に着地したアーシアは片膝をつき、そこから動かなくなった。 「まさか、城の時と同じ捕まり方をするとは…。詰めが甘いですねぇ、」 一歩ずつゆっくりとアーシアに近づいていくクルド。 アーシアは跪いたまま動かない。 書庫で待機しろという指示はあったが、これはさすがにまずい状況ではないだろうか。 やっぱり、俺も魔法を使うべきか。 俺は床に降ろした剣を手に取り、剣に魔力を集中させる。 あっという間に、剣は黒い鎖を纏い、怪しげな光を放つ。 俺はその剣を右手に持ちながら、ロの字に広がるギルド2階の廊下を足早に移動し、ギルド入口側の廊下、つまりはクルドの頭上付近へと到着した。 だが、俺の心配は、バーンという大きな音とともに、嵐のように過ぎ去っていった。 聞き覚えのある大きな音、エレーナが銃を放ったようだ。 下のフロアを見渡すと、紫色の鎖は消え、今度はクルドが片膝をつき、動かなくなっていた。 これはエレーナとアーシアの作戦だったのか?
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