壊し屋、王都を目指す ~反魔王軍本部編②~

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前にも思ったが、エレーナはどこを狙って命中させているのかが少し気になる。 アーシアは魔法が解けたのか、そこまで魔法の効き目がなかったのか、アーシア立ち上がり、床に落ちた剣を拾った。 たしか、クルドは精気吸収か催眠の魔法を使うと言っていた。 「詰めが甘いのはあなたの方でしたね。私もそうでしたが、1つの油断が命取りなのです。任務とはいえ、かつての同僚と対峙することになろうとは思いませんでしたが…」 アーシアはそう言って、剣を腰にぶら下げた。 俺も魔力の集中を解いた。 なんだろう。 魔法の解除は二回目なのに、無意識でも出来そうな感覚…。 それに、なんとなくだけど、魔力を集中させる時間が少し短くなったような…。 そんな気がする…。 俺はふと、そんなことを考えながら1階への階段を下った。 階段を降りきると、エレーナが俺を待っていた。 「どうした?浮かない顔だな。なにかあったか?」 「いえ、特に…」 「そうか…。まぁいい。とりあえずクルドの武装解除が先だ。手伝ってくれ」 「はい」 「隠れている者も、もう出てきて大丈夫だ。それぞれの持ち場に戻ってくれ!」 エレーナがクルドに近づきながら、ギルド中に響く声量でそう伝えた。 俺たち3人はクルドを囲むようにギルド入口に集まった。 エレーナとアーシアがクルドの甲冑の一部を外し、腕を露わにした。 「やはり、彼は魔法を使ってきたな」 「ええ、それに彼は埋め込まれたことによる弊害や暴走が無いようでした」 「そのようだな。問題は彼がこの魔法を埋め込んだのが、彼の意思だったかどうかだ」 「もしかしたら、私のように操られていたということもあるということですね」 「そうだ」 二人の会話にはついていけないが、エレーナが見せてくれた資料によれば、「鎖の魔法に適正がなかった者もいた」というような内容もあった。 だからクルドも何らかの原因があって魔法が使えたという話だろう。 鎖の魔法…。 王への忠誠…。 俺の魔法もクルドやアダレイドのものと魔法の種類は違えど特徴は似ている。 というか、俺の詠唱するスペルにも「鎖」は出てくるし、多分同じものなんだと思う。 だとすれば、俺はどうやって使えるようになったのか? マナから教わったのは間違いないけど、それだけじゃ王への忠誠という話の説明がつかない…。 それとも本当に鎖の魔法に酷似したものなのか? 「おい君、大丈夫か?」 エレーナの声ではっとなった。 「上の空になっているようだが、一度こちらの作業を頼みたい。彼の身体にも鎖がある。それを取り出してくれ」
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