偽りの黙示録

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「本当か!」 「天使だ!」 「見つけたぞ!」 人々はその老父の元に集まり、天使の少女を囲む。そして、ロープで縛り、長の前に出した。 「さあ、天使だ!水をくれ!」 「えぇっ。あたし水なんかうみ出せないよ」 無茶苦茶だ。その一語につきる。青年はそう思っていた。水を求め、この場所へ行き着き、だが水は買い占められ、水が無いとわかった途端雨乞いをしようと言いだし、それを長に止められ、天使を見つけろと言われ、見つけだし、と 「イレギュラーが多い…」 そんな青年の言葉をかき消す歓声が轟く。 「天使よ、私たち人間の為に、水を呼び起こしたまえ」 長筆頭に、現れた兵士が、天使を立たせる。 「どこ、連れてくの。あたし何もしてないよ」 天使は天使で状況が飲み込めていない。 人々は状況の分からない天使を無視し、祭壇へと連れていく。 祭壇に乗せられた天使の名を、長が聞く。 「待って、むちゃくちゃよ。あたしを供えても、雨は降らないのに」 天使は、泣きそうな声で訴えたが、誰一人、その言葉を聞こうとしない。それどころか、無理矢理祭壇に上げられた。「さあ、天使よ祈りの言葉を」 「知らないよそんなの」 天使はついに泣き出した。 勿論、周りがそれを許すはずもない。
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