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青年が祭壇に触れる。正確には撫でるだが
「そこにいると危ない」
沈黙後に、呟かれた言葉に周りの動きがとまる。天使は、怪訝な顔つきで人々と青年を一瞥していた。 その時だった。青年が撫でた所を中心に、祭壇にヒビが入る。ヒビは徐々に大きくなり、とうとう
ピシピシピシ…ピシ…ゴシャアァァァン!
祭壇は崩れ、瓦礫の山に変わった。
突然の出来事に人々は慌てふためき、場は混乱が支配した。そんな中、青年は天使の少女を抱き抱え、無表情のままその場を離れた
「なにしたの」
理解できずに、抱えられてる少女は、目を点にした。
「教えたら報酬は増えるのか?」
表情一つ変えぬまま青年はそう返した。もちろん足を止める事は無い。
「いいよもう、聞かないよ」
報酬、その言葉を聞いて、天使は口を噤んだ。
「懸命な判断だ」
あの場から逃げ切ったと思ったのか、天使の少女を下ろした。
地面に落とされた少女は、なんとか自分でロープを解こうとしたが、無駄な足掻きだった。ロープが解けるなら、最初からそうしている。
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