序章

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『ね・え!』 『何!』 怒ったような声で返すキミ。素直じゃないな。 『僕のこと好き?』 『は?』 唐突な僕の言葉にキミが声をひっくり返らせた。僕はキミの手を引いて公園の中に入った。するとぽつりぽつりと雨が落ちてきた。 本当に突然な雨。僕はキミの手を引いたまま大きな木の下に逃げ込んだ。そしてキミと向かい合った僕はさっきと同じ言葉をキミに投げる。 『僕のこと好き?…答えて』 『やだ』 小さく抵抗を見せるキミ。でも逃がさない。 『答えて』 『やだったらヤダ』 『僕は好きだって言えるのに…』 ちょっとだけ拗ねたような顔でそっぽを向くと 『リョウタ?』 すぐにキミが名前を呼んできた。 『怒ったの?』 窺うような声に僕の頬は自然に緩む。 『ぷっ』 吹き出した僕の腕をキミが強く叩いた。
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