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「誰が来ているの?」
「誰……いっぱいだよ」
「答えになってないよ。おじさん」
「で、メンバーは……待って」
「ん?どうした、お嬢さん」
「ねえ、来てるんでしょ。夏目漱石も」
来るわけないじゃない、確かに、嬉しいけど。今の私はお金なんていらないの。
「夏目漱石?知らないな、だけど僕が呼んでくるよ。ヘミングウェイ、ディケンズはどうだろうか?」
「いいんじゃないの。もうおしまいでいいよね。おじさんもう満足できたでしょ」
「まだまだ序の口さ。キング牧師、彼も来ている。ランボーも、ポーも。シェイクスピアだってやってくる。ボッカチオ、キケロ、プルタルコス、ヴォルテール、ジュリアス・シーザーもやってくる。アンデルセンはもう到着している」
「その調子だと、グリム兄弟もいるはずね」
「そうだとも、ほかにもデュマ、デュマの息子。そうだ、セルバンデス・ゲーテ・トルストイだって呼んでしまえばいい」
「ドストエフスキー、チェーホフももちろん」
「当たり前だろ、チェーホフなんてもう患者の様子が気がかりでしょうがないんだ」
「ミルンも呼んでくれる?」
「ああ、百エーカーの森から彼はやってくる」
「ウェブスターも?」
「あしながおじさんと一緒にやってくるさ」
「アガサ・クリスティは?」
「ポアロとマープル夫人を連れ立ってね。エラリークイーンも親子共々、来日するさ。バリツを扱うシャーロックも」
「ワトスンの置きっぱなしは嫌だから、当然」
「来るさ、デュパン・ルパンと隊列を組んで」
「トムソーヤは?」
「マークおじさんと一緒に来るとも。バリだって、ピーターもティンカーベルもやってくる」
「シェイクスピアも」
「そうだよ、何度でもやってくる。モリエールに、アイスキュロス、アリストファネスなら最高の喜劇を用意してくれる。ホメロスも、バイロンもシラーだって絶賛参加中だ」
「ねえ、ちょっといい、おじさん?」
「お嬢ちゃん、なんだい」
「おじさんはなんで私に話しかけてきたの」
「お嬢ちゃんが本の虫だからだよ。おじさんはピンときたんだ、それに今来ている人達の事お嬢ちゃんは全員知っているだろ」
「知らないわけない。……おじさん、ちょっと私の話しを聞いてもらえない?」
「いいよ」
「その前に、ごめんなさい。ヒドイこと言ってしまって」
「え、あのくらいちっちゃい時にいくらでも言われたし」
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