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「考えておく。これでメンバーは全員?」
「一部だよ。もっともっと聖者が熊本にやってくるんだよ」
「よくわからないけど、なんだかうきうきしてきた。こんな気持ち久しぶり」
「そうだね、僕らはいわばマーチングバンドだからうきうきしてもらって本望だ」
「バンドなの?」
「ああ。僕のわがままで、行き帰りは同じ曲を演奏するんだ。一部、宗教的だから反感はあったけど」
「おじさん、えらかったのね。何の曲?」
「聖者の行進って曲」
「いいタイトルね」
「ははっ、お嬢ちゃんが元気になって嬉しいよ。今演奏を始めてもいいかな?」
「みんなの迷惑になっちゃうから外でお願い。おじさんごめんなさい」
「ああそう言えばそうだ」
「それに、ここまで言ってもらえたけど簡単にはまだ割り切れない。物語を作ろうって決めたけど、何も見えなくて。一歩先でさえわからない、弱い自分が本当になれるのかって、作家に」
「先なら僕にもわからない。わからないからいいんだろ、先が読める予定調和な演奏なんて白けてしまう。新しい挑戦するから面白んじゃないかお嬢ちゃん」
「チャレンジ……未知……、ねえおじさんはもっとメンバーを呼べるの?」
「できるよ。それがどうしたの?」
「なら子供達を熊本に追加で、連れてきて。これから生まれてくる子達を」
「うん?……あ、あ、あ!!お嬢ちゃんやっぱり君は可愛くて、天才的な発想を持ってる。ああ、必ず連れてくる。そうだ、聖者は聖者だ。生者にはなれない」
「そう。生者は私達だけじゃないの。これからを生きていく、生まれる前の子供達だって熊本にやってきてほしいの。行進を始めたら、誰もが笑顔になれる、絶対!」
「面白い子だ。未来の子供達まで連れてくるなんて、中々思いつかない」
「たぶん、自分に関係してるからだよ」
「それはどういう意味だい?君だって将来があるじゃないか?」
「私の名前、今野(こんの)ミクっていうの」
「ミク、いいじゃないか。日本には漢字っていうのがあるけど、ミクは漢字でなんて書くの?」
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