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「未来って書いて、ミク。未来はフューチャー、おじさんと出会うまで好きじゃなかったけど……今はちょっと気に入ってる。おじさんっていう未来がやってきて、元気になれたから」
「……」
「おじさん、どうしたの?」
「感動して泣いてた。その気持ち、ずっと忘れないでくれ。ではそろそろ時間だ、僕はもう行くよ」
「また来るよね?」
「今度は少し時間がかかる、なにより人数が人数だから」
「そう。でも私待ってる、必ず待ってるから!次に来た時には、お話し作っておくから」
「ルイ」
「えっ何?」
「僕の名前だよ。ルイ・アームストロング。未来、君達フューチャーに素敵な行進を、次の時代の名作を待ってるよ」
「何言ってるの。まだ作った事もないし、書き終えた以前に文字も書けなくなってキーで打ち込むくらいだから。何もできないよ」
「できるし、面白い。僕が必ず目を通す。片方だけのアンフェアな約束は駄目だ……さあ涙を拭くんだ、未来。君達生者の行進は始まったばかりだ」
「うん!でもさ、ルイ」
「なんだい?」
「……ルイも一緒だから。生き死になんて関係ないなら。一緒に行進しよう」
男は嗚咽で返事をした。
その数日後、熊本県民全員が、頭の中で行進曲のような物を聞いたという噂が流れる。
真相は誰にもわからなかった。
ただ、なぜか自然と元気になれ、いつの間にか笑顔になっていたとの噂されている。
(了)
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