序章

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何進は宦官を消したいと考えた、それも一人残らずにだ。 その何進に進言した者がある、三公(大将軍に次ぐ役職で大将軍が居ない際は最高位の役職)を三代続けて輩出した名門袁家の長男であり、都の親衛隊長の一人袁紹(えんしょう)である。 本来名門の出身である袁紹にとって成り上がり者の何進は嫌悪の対象に過ぎない、しかし名族の家臣と宦官の政争は最早この国の伝統と言ってよく、袁紹にとっても宦官は敵だったのだ。 成り上がりの何進と違い袁紹にはそれなりの風格があり、何進や他の名門の臣よりは頭が切れた、語気にも力が満ち、堂々とした態度で放つ言葉は数多くの人から賞賛されていた、何進と比べるのなら名門の貴公子と下男程の開きがある。 何進もその辺りは周到で自分より家柄も良く、才覚でも優る袁紹をわざと近くに起き軍師のような役割を持たせていた。 自分より名門の優れた貴公子が自分に敬語を使い配下として使われる、何進にとっては何物にも勝る快感だったのだ。
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