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19××年
戦後の焼け野原から甦り、高度成長と呼ばれる、急激な発展も落ち着いた我が国日本は“豊かな国”と口にされ始めていた。
それがやがて飽食の時代に突入し、人々はこぞって“美味しいもの”を求め、金に糸目をつけず、すっかり肥えてしまった舌を満足させることに躍起になっていた。
政治の黒い部分や、社会の裏側もまた明るみになっていき、金がものを言い、金が解決する世の中へとどんどん移り変わっていった。
何かが頭で『これでいいのか?』と警鐘を鳴らすものの、前にならえ精神を叩き込まれた世代には、『STOP!』の声が出せなかった。
だが、舌は満たせても、渇く心はいっこうに潤わず、だからと言って何かをしようなんて行動には移せない。
人々は待っていた。
『何か』がやってくることを……
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