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「りょーちんの馬鹿っ! りょーちんのっ」
そう言いながら、スヅはオレにぺしぺし猫パンチみたいなんカマしてきた。
「やめえ」って、オレは、スヅの鎖骨の下あたりを片手で突き返すと、スヅの体はオモシロイくらい簡単に、いなされた。
オレはそのまま、スヅの体を近付けんよう、片手で押し返して固定してみた。
「うあっ」って言いながらも、スヅは猫パンチを繰り出すけど、スヅの腕が短くて全然オレの胴体には当たらん。
ぱたぱた腕が藻掻くだけなん。
「りょーちんっ!りょーちん!
いつから、りょーちんはそんなに意地、悪うになったんっ?!」
スヅが藻掻きながら言う。
「イマ!
今や! 今、意地が悪うなったんやっ!」
オレは大笑いしながら答えた。
「なんでっ? なんで?!」
スヅが一生懸命しても、ゆるいパンチが腕にちょっと当たるだけんなん。
「馬鹿にしとるっ! コドモじゃないけえ!
僕のん、届かんとか、りょーちんのズルや!!
僕のコト、イタタタって思っとるんっ?!
りょーちんの馬鹿っ! りょーちんの馬鹿っ!」
って、言いながら息が上がってくるスヅ。勝敗はもう決まっとるけど。
さっきから、スヅが何度もりょーちん、りょーちんって言いながらムキになっとるのが、ホンマの子供みたいなんじゃけど。
カワイイけえ、教えてやらんのん。
オレ、このヒト、さらっていって、どっか秘密の場所で飼いたいわ。
(モチロン、ホンマにはせんよ?)
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