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「困った・・・」
12時50分に補習が終わるとスヅが呟いた。
「どしたん?」
オレが聞く。
「あんな、実は僕、この後4時から塾なんよ。それは、今、夏休みじゃけ、夜10時近くまであるん。」
「長っ!」
「そうするとな、塾の宿題もあるし、学校の補習の宿題、絶対に間に合わん!」
スヅはさっき配られた全日程分の大量のプリントを見た。
宿題というのは、明日4時間分の英語授業の予習のことで、授業ってのは、実質、配られた大量のプリントの答え合わせなん。
午前中は授業で英語漬けにし、帰ったら、問題を解くのに午後中かかるような大量の宿題で英語漬けにし、この一週間、1日中、英語のことしか考えさせんというセンセエの謀略に、オレ達は、まんまと引っ掛かってしまったん。
ニッポンに居ながらにして、ホームステイ気分を味わうん。
いや、そんな楽しゅうないわ。
プリントをペラペラ捲って青い顔をしてるスヅに聞いた。
「昼ごはん、ここで食べたとして、何時に学校出たら、塾、間に合うん?」
「・・・3時20分くらい?」
「じゃ、あと2時間ちょっとあるってことやな?」
「うん。」
「じゃな、オレもガッコでパン食べるけえ、一緒に宿題しよ? 単語だけでも手分けして調べたら違うじゃろ?」
「ホンマ?! ええのん? りょーちん!!」
「うん、ええよ。困った時はお互いサマや。
ほら、パン買いに行こうや。」
「アリガトっ!! ホンマ、恩にきる!!」
そうしてオレ達は荷物たたんで購買へ向かった。
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