1*

3/3
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
時が流れて、 オレはやっぱり、 あの草原にいた。 “忘れなきゃ 忘れなきゃ・・・” オレが、そう思う度に 薄い靄(もや)が現れて、 オレの視界をぼんやりさせていったが、 いつしか、それは霧になり、 草原を深く包むようになっていた。 もう、向こう側が見えない。 そんな見渡すことの出来ない草原に オレは独り、座り込んでいた。 途方もなく草は生い茂ったが、 この草原が、未だ止まらず広がり続けているのはわかっていた。 ーーなぜなら、 まだ、オレは種子を 零し続けていたからだ。 .
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!