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オレは、高3になっていて、
高校生活、最後の夏休みが来ていた。
オレは、夏休み前半は、希望者参加の補習授業で毎日学校へ登校することにして、ついでに、一学期で引退した筈のバスケ部の朝練に未練がましく参加させて貰うことにしていた。
スヅとは、中2以降、同じクラスになることはなかった。
それでも、中3の時は思い出したように、二人で少し喋ったりもした。
オレ達の学校は一貫なので、高校生になったからといって、学校が離れ離れになることはなかった。
だけど、高等部に上がる時、スヅが進学特別クラスを選択すると、オレの進んだ一般クラスとは教室の場所が離れてしまい、その姿を見かけることがかなり減っていった。
いや、教室のせいじゃなくて、
オレはスヅを忘れようとしていた。
種子を蒔き続ける疾(やま)しさを、なんとかしたくて、いっそ想いを忘れることが、スヅへの誠意だと思っていた。
そうやって、あの秘密の種子蒔きと決別したかった。
そして、中3から入部したバスケ部に自分の居場所をみつけて、それ以来、オレは部活の奴らとツルんでた。
友人に関してはとても恵まれ、なかなか充実した高校生活を送っていると我ながら思う。
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