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が、それから1年して、それなりに宿も繁盛してきた頃に、街は治せない死に至る病が流行り始めた。
そしてあっと言う間に、女将さんも病で亡くなってしまった。
すると少し前に雇われた従業員が、役人に金を掴ませて俺を追い出し、宿屋を乗っ取った。
子供の俺にはどうする事も出来ず、女将さんには申し訳無いが諦めるしか無かった。
しかも、万が一にもこの事をお上に知られたら不味いから、と口封じに殺され掛けて。
あの路地に逃げ込んでまた半年、子供を拐う奴等から逃げ回り、食べ物を盗み生き延びてきたんだ。
そして今に至る。
思えば俺、疫病神なのか?
俺に関わった人間はことごとく死んでいく。
それなら大人しく実験材料になって研究者と関われば、彼等は死ぬんだろうか。
もしそうなら、このまま大人しく連行されても良いかもしれない。
俺の命で、この先、もう子供が拐われなくなるなら悪く無い。
なんて覚悟を決めたのに、いきなり空いたドアから顔を出したのは、さっきの天使だった。
はぁ?
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