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ある夜、ゲンさんがダンと俺に嬉しそうに話してきた事に、俺は愕然とした。
「聞いて驚け!今度の仕事は首都でなんだ!首都の学校に通えるぞ!お前達も休みの日に仕事を手伝えば、お前達の学費も払ってくれるそうだ!かなり良い条件だろう!」
ゲンさんはこれまで、街から街への商人の護衛をしていたのだが、腕を見込まれたらしく、首都の貴族の家で護衛に雇われたのだと言う。
「手伝いって、俺は親父みたいには戦えないんだけどなぁ」
呑気に言うダンに、それは学校で鍛えられる、とゲンさんは笑う。
「騎士を養成する学校に通い、次の当主となる坊っちゃんの騎士になれって言うんだが、嫌か?」
断られるとは微塵も思わない顔で尋ねるゲンさんに、ダンは驚いた後で満面の笑顔になり。
「マジで!?凄ぇ!騎士だってさ、バン!凄いな!」
かなりの乗り気な感じに変わった。
が、俺は首都には行けない。
「えっと、お世話になっていて申し訳ありませんが、俺は此処を、森を離れたく無いです」
そう言うと、ゲンさんは目を見開いてから、あー、と頭を擦る。
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