2話

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『晴彦、お弁当~』 『ちーちゃんの手作り!わ~わ~』 『大袈裟だっつの!ほら、もう時間でしょ?いってらっしゃい』 『うん!頑張ってくるね』 『はいはい、暑苦しいから』 晴彦はずっと楽しそうに笑っていた。玄関まで千晃が見送ると本当に嬉しそうで千晃も笑顔が込み上げた。 久しぶりに家に帰ってこれたから浮かれているのだと千晃は自覚していた。 『…ふぅ』 身体から力が抜けて玄関に座り込む。寒いわけでもないのに身体がフルフルと揺れる。 『…ママ?』 『奈々、大丈夫だから…ちょっと待ってて』 立ち上がろうと力を入れてもなかなか立ち上がれない。千晃の顔色はドンドン青白くなっていく。 本人でも分かるくらい体調が優れなくて、震える手でポケットから携帯を取り出した。 『…もしもし、兄貴?ごめん、ちょっと力貸して?…うん、ごめん、よろしく』
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