2話

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妹が一カ月前に病気で死んだ。 俺はそんな妹からこの眼鏡を頼まれたのだ。眼鏡が俺のことをどう思ってんのか知らねぇが、コイツが一人で立ち上がれるようになるまでは面倒を見ると決めた。 「うわ~お味噌汁のいい匂いですね」 「朝はしっかり食う。篠宮家の常識だ」 「ちーちゃんも同じこと言って作ってくれました」 ヘラヘラと笑って眼鏡がいう。 いつだってコイツは間抜けな面して笑ってやがる。本心はどう思ってんのかわかんねぇけど。 「…おにいさん?ボーッとしてどうされました?」 「んあ?いや、つか寝癖直せ」 「はい!」 返事だけは一丁前で相変わらず寝癖健在の眼鏡を見送った。 俺の家は6階建てのマンションの5階。502号室だ。1LDKの男一人なら十分な大きさの家だが、人が増えると少し狭く感じる。 リビングと別で寝室用に一部屋眼鏡とチビにやった。今はその部屋で2人には寝てもらっている。
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