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「お、おにいさん!見てください、茶柱!茶柱がっ……うわぁっ!」
ドカン!
酷く大きい音ですっこけた男に俺はまたかと頭を抱える。お茶はひっくり返って床に水溜りをつくり、なんとも無様な姿。
嫌気はさすさ、でもぐっと我慢するのも年上の余裕。
「おい、何してんだよ」
「…す、すみません。あーせっかくだったのに…」
「落ち込む暇ったら下を拭け!」
「はひぃ!」
慌てて立ち上がり雑巾で下を拭くこの冴えない眼鏡は最近俺の家に転がり込んで来た居候。
「パパぁ!みてぇ」
「あー!奈々ちゃん!ビショビショじゃないか!」
「キャハハ」
そして、この二つ縛りのお転婆娘も居候。
「こぼしちゃったぁ」
「あーもうワンピースまでビショビショじゃないか、お父さんが拭いてやるからおいで!」
「やーよ!キャハハ」
「あっ!コラ奈々ちゃん待ちなさ……ギャァ!」
ドタバタと廊下に逃げていく娘を追おう足を踏み出そうとした眼鏡は自分のこぼした水溜りで滑ってまたしても転ぶ。とんだドジ野郎に俺の眉間のシワも増える。
騒がしいつのっ。
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