0人が本棚に入れています
本棚に追加
それから月日は流れ、互いに守るべき場所(もの)が出来た。
それは大きく、今やその場所が二人を作り上げていると言っても過言では無い。
二人の身体は守るべき場所で満たされていたが、奥底に隠された真髄で眠るのは互いの存在であった。
しかし、荒々しくも平穏な日々は運営の思惑(知らせ)によって崩される。
新撰組とメビウスの輪の全面戦争。
避けようがない事実。逃げようがない運命。
そうだな。奴とは友である前に好敵手(ライバル)。
戦好きな奴ならば、又、私と拳を交わせることを嬉々として待ち望んでいるだろう。あの嫌な笑みが閉じた瞼に映る。
「掴むぞ明日を──。往くぞ未来へ──。」
「えぇ。分かっていますよ。」
「神の選ぶ明日へ着いていくだけだよー。」
「天草って奴と戦ってみてぇな。」
部屋に響く、三つの和音(声)。
嗚呼。私は幸福者だ。
私には多くの夢がある。共に叶えてくれる仲間がいる。
近藤と共に渡り歩いたあの頃と比べると随分大きくなったものだ。
“能力”を使い数々の障壁を崩してきたが、未だに真実を知るのは近藤ただ一人。
未来から戻り衰弱した体を治すために、治療部隊を側に置いているが、彼らにも衰弱は“探索能力の対価”だと説明している。
済まない。余計な心配は掛けたくない故の嘘。
三国志には私の心の拠り所として延々に側にいてほしい。
この戦を制し、運営を滅ぼす。
忌まわしき過去を身体に刻んだ三国志と共に誓いあった夢。
必ずこの戦を制し、呪縛(運営)を砕く。
最初のコメントを投稿しよう!