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案内された燐翔の部屋は一般的な男子高校生の部屋にしてはしっかり整頓されていた。
「何か適当に座って」
「ああ、分かった」
「それにしてもさ~、何年ぶりくらいかな?」
「小学校以来だから4年ぶり位か」
それからしばらく何気無い話をしていた。一通り話したいことを話し終わったせいか部屋が静かになる。燐翔は何か話題になりそうな事はないかと思考を巡らせ、蘭季の顔を見る。蘭季は茹で蛸のように顔を真っ赤にして俯いていた。
「蘭ちゃん、大丈夫?」
蘭季の顔を覗き込むような形で話しかける。蘭季は勢いよく燐翔の肩を掴む。
「燐翔、好きだ。付き合ってくれ。」
思考が止まってしまってポカンとしたまま固まってしまった燐翔から手を離して足早に荷物を持って出て行こうとする。
「返事はいつでもいいから…」
意識を取り戻した燐翔は慌てて蘭季の服の裾を掴む。
「えっと…、ゴメン返事はまだ出せない…」
「燐翔の考えがしっかりとまとまったときでいいよ」
「うん、でもしっかり返事は出すから…」
燐翔の手から蘭季の裾が離れる。蘭季はそのまま部屋を出て行った。
部屋に一人残された燐は今更になった顔が、身体中が熱くなってくるのを感じた。
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