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「お前さぁ、やっぱY大行くのか?」  同級生で恋人の関口恵太(せきぐちけいた)が、何でもないようなそぶりで聞いてきた。  約1ヶ月で一年も終わると言う、世間も受験生も忙しないこの季節。     誰も居ない放課後の教室は、一種独特の雰囲気に包まれている。  窓から見える、西に傾いた太陽は、橙色と紫色の色彩に染め上げられていた。  その光を受けながら、窓際の一番後ろの席に座っていた喜多川透(きたがわとおる)は、机に寝そべっていた顔を上げ、「ん……」と気のない返事で顔を向けた。  恵太と透は、高校1年から3年間同じクラス。     そして、透の傍に座り込んでいる恵太は、見かけ女の子と間違うような美少年。  目は大きなアーモンドアイで、睫にマッチ棒が2本も3本も乗るのではないかと思うほど長い。  鼻筋もキレイで高く、薄くてけれど大き目の口元はどことなく艶めいていた。  肌も男にしては滑らかで白く、黙っていれば西洋のお人形のような愛らしさと美しさが備わっていた。  ……そう、黙っていれば。  金髪に近いほど染め上げられた髪をうっとおしそうにかき上げながら、鋭い目つきで透を見上げたその服装、その姿勢。  ボタン全開の紺のブレザーの下の、ネクタイをしていない白い開襟シャツの上のボタン二つは、いつも確実に開けられ、中から覗くセクシーな胸元には趣味の悪い金色のネックレス。  腰まで下げたダボダボのズボンに、だらしなくう○こ座りする彼は。  ――――そう、りっぱなヤンキーだった。  そんな彼とは対照的に、透はごくごく普通の男子高校生だ。  いや、普通と言ったらかなりの語弊があるかもしれない。
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