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(そうだよ、あの目が悪いんだって。自分が小悪魔だって気づいてねぇし、そのほっそい腰とか男そそってんの知ってんのかねぇ)
自分の事を不良でヤンキー、手の付けれらない問題のある生徒だと思っている恵太は、だが、他の生徒からかなり可愛がられ、一部の生徒からは圧倒的な人気を得ていた。
その一部の生徒を影でかたっぱしから排除してきた透は、恵太に気づかれないようにそっと溜め息を吐く。
(俺の苦労も知らないで、ヤンキー風吹かしやがって、コイツは。まぁ、そこも可愛いんだけど……可愛いといったら、アレの最中のコイツの声も最高に可愛いけど)
透は昨夜の恵太との情事を思い出し、一人ニヤニヤとスケベな笑いで彼を見つめる。
その視線に気づいた恵太が、
「何変な顔してジロジロ見てんだよ!こっちは真面目な話してんだぞ!」
少しいらだったように上目遣いで声を荒げた。
まるで赤い糸で繋がれたように3年間同じクラスになり、熱い情熱を何度も交わした彼らだったが、今、二つの道に分かれる岐路に立たされていた。
不安そうな表情をした恵太を見た透だったが、しかし、そんな事は問題ないと思っていた。
(俺はこんなに恵太の事が好きだし、こいつだって俺の事すっげー好きなのバレバレだし。違う進路になったってどうってことないだろ)
元々深く考えない透は、そんな事を思いながら、恵太の質問に質問で返していた。
「たぶんなソコ辺り行くと思うけど、お前は?」
「うん……俺は自動車大学校」
大きな目元を少し伏せて恵太は、教室の窓辺の壁にう○こ座りのままより掛かる。
そんな格好で疲れないのかよ?と透は眉を潜めながら、
「ああ…お前言ってたよな、自動車整備士になりたいって」
椅子の上に右膝を立て、そこに組んだ腕を置いて透は、恵太の顔を見つめた。
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