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「試してみるまでもなく餓死しちゃうってば」 「半年だけでも」 「死ぬ死ぬ死ぬ」 「なんて頼りない……」 「食事やめないとぼくは頼ってもらえないの」  ハードル高っ。  食堂は人間と機械でごった返していた。混ざりあって楽しげに談笑などしているためによく見ないと判別できないくらいぼくたちは平然と同僚だった。 此処のガラスの壁は開放感があってよいですね、とかなんとか機械たちが向こうで喋っている。 人間が三十分くらいかけて美味しい燃料を口へ詰めているあいだにアンドロイドたちはチャージパネルへ一瞬手を載せて食事を済ます。 今日は風が気持ちいいからせっかくだし木陰で食後の紅茶でも。機械がそんなことを言ってくる会社だ。社会全体が大量の哲学的ゾンビに支えられていた。 血液をからだの隅々まで届けてくれるポンプは、こころとしての意義を崩壊させ始めていた。
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