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「誰か助けてください」 「――えっ? ぼくという友だちを前に誰かってなんだよ誰かって」 「私も薬を飲みたいのです。この頃とてもからだがおかしい。会社に来ると動悸がします。緊張し、汗が出て、思考が停止します。こうやって昼食をとっている時間帯は特に変なのです。私は病気なのに幸福感で満たされます。もっともっと病気でいたくなります」  不気味の谷現象というものがある。 人間に近い機械をつくろうとしているとき我々は彼等の人間と似ている部分に愛着を持つのだけれど、どんどん似てきてほぼ同じになると、途端に嫌悪感を抱く。 機械が人間と似ている所為でかえって「決定的に人間と違う部分」が強調されてしまうからだ。 なにげない機械らしさがぼくたちのこころに強烈な嫌悪感を刻みつける。 あまりの不気味さに鳥肌が立つ。
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