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「うーんそれはさぁ、たぶん、人間でも薬飲んで治すのは無理だよ」 「じゃあどうしたらいいんです」 「天才のぼくが直してあげよう」  座っている彼女の背後に膝立ちして彼女のストレートの髪を掻き分けた。 白いうなじを剥き出しにする。 Yシャツの襟を少しめくる。 うっすらとうぶげの生えた綺麗な首筋が、黒髪の下からあらわになる。 彼女はぼくを信じてじっと座っている。 ぱこん、と首の蓋を外しぼくは慣れた手つきで古いUSBメモリを挿しこんだ。アンドロイド記憶調整プログラム起動。コマンド、デリート。あらかじめ彼女用に設定してあるから特別な操作なしに数分で完了する。 「……ふあー」 「どう?」 「おお、直りました! 完璧です。さすが天才眼鏡さんですね。動悸や奇妙な幸福感がなくなりました! ありがとうございます」
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