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「こんなもの挿すだけでメンテナンスと修理ができるなんて。機械には便利な面もあると認めざるを得ないな」 「そう言えばもう遅刻ですよね、はやく行きましょう!」  勢いよく立ちあがった彼女がぼくの手をつかんで引っ張った。紅茶の香りを含んだそよ風がぼくたちふたりのあいだをさぁっと駆け抜けていく。ガラス戸を開け放ち、機械が振り返る。 「私前々から思っていたことがあるんですがアンドロイドという言葉は『人』の意のandroと『~みたいなもの』の意のoidを繋げたものですから、ヒトロイドグループっておかしな社名ですよね。ヒトにoidをつけるならヒトイド? ひとぉいど? 語呂があんまりよくないような?」 「どうでもいいから急げ」
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